音響専門書籍・文献紹介では、弊社R&D担当者それぞれが日頃参考にしている書籍や、注目している論文などをご紹介します。
紹介した書籍や文献へのリンクも掲載していますので、興味を持たれたらご利用ください。
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安藤彰男著
「基礎音響学」
日本音響学会編
音響学講座 1
コロナ社
2019.3.28 初版第1刷発行
ISBN978-4-339-01361-0
https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339013610/
キーワード:音響学、音響物理学、聴覚、デジタル信号処理
「基礎音響学」
日本音響学会編
音響学講座 1
コロナ社
2019.3.28 初版第1刷発行
ISBN978-4-339-01361-0
https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339013610/
キーワード:音響学、音響物理学、聴覚、デジタル信号処理
「本格的に音響学を学んでみたいけど、何をすればいいかわからない」
そんなあなたにおすすめしたいのが、この『基礎音響学』です。
実は私もかつてそのような思いを抱えていました。そんな時に出会ったのがこの本でした。私は大学で機械工学を学びましたが、音響学を学び始めたのはfinalに新卒で入社してからでした。学び始めの頃は、「ラウドネス」や「マスキング」といった、聴覚心理学の用語に戸惑っていました。そんな時に紹介してもらったのがこの本でした。この本は音響学の基礎を網羅しており、波動方程式やデジタル信号といった工学部出身者にとってなじみのある内容だけでなく、聴覚などの音響独特の内容も詳説されています。私のような工学系のバックグラウンドを持つ人が、新しく音響学を学ぶのには最適な本といえます。
ここからはこの本の内容についてご紹介します。この本は以下の5章から成り立っています。
1章では、音響学がたどった歴史の概略が述べられています。物理学・生理学・コンピュータの発展とともに、音響学がどのような発展を遂げたかを知ることができます。
2章では、物理学から見た音、すなわち音の物理学的表現である波動方程式について書かれています。波動方程式の導出方法と、波動方程式から派生した平面波・球面波について学ぶことができます。また、弦や膜の振動についても書かれており、波動方程式を理解するうえで役立ちます。
3章では、生理学・心理学から見た音、つまり、耳に到来した音がどのように処理され、どのように感じられるかについて解説されています。この内容は、以前にfinal LABでご紹介した音響学講座や「大串健吾著:音響聴覚心理学」とも深く関わっています。
4章では、デジタル信号処理について解説されています。コンピュータが発展した現代では、音信号の多くがデジタルの形で利用されています。そのデジタルな音信号を分析したり、フィルタをかけたりするために必要な手法について紹介されています。ここで書かれている信号処理理論を発展させた技術が様々な製品に応用されており、以前にご紹介した「Francis Rumsey著 Audio Processing – Learning from experience」や「Francis Rumsey:Headphone technology - Hear-through, bone conduction, and noise canceling」もその一つです。
5章では、2章から4章までを理解するために必要な数学について書かれており、必要に応じて参照できるようになっています。大学教養レベルの線形代数や微分方程式に加えて、球関数および球関数を用いた音場理論が解説されています。
各章はある程度独立した構成となっているため、自分の興味のある分野から読むといったことも可能となっています。また、各章の参考文献を追うことによって、さらに深く学ぶことができます。
あなたもこの本で音響学の世界に足を踏み入れてみませんか。
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