final
D7000
新開発「ピナ アライン ディフューザー」搭載
D8000とは異なるアプローチによる新たなフラッグシップヘッドホン
D7000は、理想的な構造設計を模索する中で、2017年発表の初代フラッグシップヘッドホンD8000の構想当初から研究開発を続けてきた製品です。新設計の「ピナ アライン ディフューザー」及び、より高効率な「AFDS:エアフィルムダンピングシステム(以下AFDS)」を搭載したドライバーの開発を経て、
D8000およびD8000 Pro Editionに並ぶ新しいフラッグシップとして満を持して製品化を迎えました。
*…「AFDS:エアフィルムダンピングシステム」は株式会社finalの商標又は登録商標です。
平面磁界型の繊細な高域とダイナミック型の量感と開放感のある低音を両立したサウンドに加え、特に声や弦の帯域に対しての解像度が高く、艶のある滑らかなサウンドを実現しました。
また、設計全体を見直すことにより、D8000・D8000 Pro Editionと比べて約16%の軽量化に成功。さらに、ヘッドバンドとイヤーパッドにドライな肌触りと耐久性を兼ね備えた和紙を使用した特殊な生地を採用し、高い耐久性を実現しています。
新開発「ピナ アライン ディフューザー」搭載
最新の音響設計が施されたプロフェッショナルレコーディングスタジオにおいてスタンダードとなりつつある拡散(=ディフューズ)による音響調整の考え方をヘッドホンに投入しました。
D8000の開発初期にディフューザーを搭載するというアイデアはあったのですが、ヘッドホンのハウジング内部という特殊な条件において適切なものを開発するのには長い時間が必要でした。また、測定器による理想的な条件下での測定では良い結果が出る一方、実際の耳で聞くと、外耳(ピナ)の形が人によって異なるため、音質に大きな差が生じました。この問題を解決するために、さまざまな外耳の形状に合わせたシミュレーションと実際の聴感実験を繰り返し行ない、最終的にどのユーザーにも最適なディフューザーの形状に辿り着きました。
平面磁界型の繊細な高域とダイナミック型の量感と開放感のある低音の両立
「開放感と必要十分な量感のある低域」
従来の平面磁界型は振幅が大きくなる低域で振動板がマグネットに接触してしまうため、ドライバーユニットが再生可能な低音の最低周波数を上げる必要があります。そのままでは不足する低音を補うため、イヤーパッド内を密閉し、振動板の前部を閉じられた空間にしています。
これはイヤーピースで密閉するタイプのイヤホンが、小さなサイズにも関わらず、低音域まで再生できるのと同じ原理です。イヤーパッド内を密閉することで低い周波数帯域まで低音を再生することができるのですが、イヤホンと同様の閉じられた空間内で再生される低音となります。
D7000では、「AFDS」によって、振動板がマグネットに接触する問題を解決したため、ドライバーユニットが再生可能な低音の最低周波数を下げることが可能になりました。通気性のあるイヤーパッドと併せて、優れたダイナミック型でしか実現できなかった、量感と開放感を両立した低音の再生を可能にしました。
「繊細な高域」
繊細な高域を再生するには、振動板が軽量であることが何よりも優先されます。D7000は、同じ直径のダイナミック型と比べて振動系重量が約1/3と軽量になっており、超軽量フィルムの振動板に極めて薄いアルミ箔のコイルがエッチングされる構造です。このため、ダイナミック型では不可欠だったコイルと振動板を接着するための接着剤を使う必要がなくなり、接着剤に起因する問題を根本的に解決、繊細な高域の再生を実現しました。
「平面磁界型の繊細な高域とダイナミック型の量感と開放感のある低音の両立」
平面磁界型の繊細な高域、ダイナミック型の量感と開放感のある低音の両立によって、D7000を使うと聴き慣れた音楽から新たな発見があり、お気に入りの音楽を次々に聴き直したくなります。優れた音質が、音楽の深いところに触れるきっかけになることを実感できる製品です。
より高効率な「AFDS:エアフィルムダンピングシステム」を開発
従来の平面磁界型ドライバーユニットには、振動板の振幅が大きくなる低域で振動板がマグネットに接触する問題がありました。それを解決するために、有限要素法による振動板のシミュレーションと、レーザードップラー振動計による測定を繰り返し、「AFDS:エアフィルムダンピングシステム」という新しい振動板の制動技術を確立しました。これにより、平面磁界型の弱点であった低音の再現性の低さを解決しました。平面磁界型の再発明と言える技術です。
D7000では、振動板のコイル部及びパンチングメタルの形状を再検討し、D7000の目指す物理特性に合わせてより高効率に振動板を制動させることが可能となっています。
長期使用を考慮し、修理を容易にする設計
購入後、末永くお使いいただくために、ほぼ全ての部品をビスで分解できる設計といたしました。修理や将来のアップグレードを可能にしています。
アルミマグネシウム合金切削筐体
AFDSを成立させるためには一般的なドライバーユニットに比べ、極めて高い精度が必要となります。そのため、アルミマグネシウム合金製の切削筐体は高い精度で切削されています。
精度を追求した自社工場生産
Dシリーズは川崎の本社内で生産を行なっています。製品組立の精度は、部品の精度と共に、組立を補助する道具である治具の精度に大きく左右されます。部品精度の僅かなばらつきを、組立てながら微調整できるよう、生産治具の設計製造を内製化しています。
また、Dシリーズのために振動板成形機といった生産機器や振動板テンションメーターといった測定器なども専用品を自社で開発しています。
本当に良いものを作り出すには、素材に近い部品の製造の過程に踏み込む必要があります。made in Japanの良さは、そうした際に素材に近いメーカーの協力が得られるところです。素材という部品の源流から製品の組立までを一貫してコントロールすることで、製品の高い品質を実現しています。
各種ケーブルも収納可能な専用プロテクトケース付属
製品は付属品と共に、持ち運びに便利な専用プロテクトケースに格納されています。 付属の専用キーによる施錠が可能です。
和紙を使用した特殊生地の新開発開放型イヤーパッド
密閉型はもちろん、オープン型と呼ばれているヘッドホンでも、多くはイヤーパッド内を密閉することで、ドライバーユニットが本来再生できない低域まで、特性上の再生周波数を延ばしています。しかし、音源が持つ本来の自然な広がりのある質の高い低域の表現のためにはドライバーユニット自身に低域まで再生できる能力があり、その上で密閉度が低く、通気性のあるイヤーパッドを使う必要があります。しかし、従来の全ての平面磁界型や一般的なダイナミック型の多くは、密閉度の低いイヤーパッドでは、低域が不足してしまいます。
Dシリーズでは、AFDSによって低域の再生帯域を延ばすことが出来たため、ドライバーユニットの能力だけで、密閉度の低いイヤーパッドでも十分な低域の再生が可能になっています。この音質に大きな影響を与えるイヤーパッドは、通気性に優れた発泡体と特殊繊維からなるDシリーズのための新規開発品です。D7000には、表面素材としてドライな肌触りと耐久性を兼ね備えた和紙を使用した特殊な生地を採用しています。また、同じくヘッドバンド部も同様の素材を採用し、湿気に強く高い耐久性を実現しました。
D7000/D8000/D8000 Pro Editionの音質の違い
D7000は、新開発の「ピナ アライン ディフューザー」などドライバーを新設計することによって、D8000・D8000 Pro Editionの特長である量感と開放感のある低音と繊細な高音を両立したサウンドに加えて、特に声や弦の帯域の解像度が高く、さらに耳元にやや近く非常に滑らかに聴こえるのが特長です。
ダイナミックレンジの広い「クラシック音楽」などの聴取を得意としていたD8000に対し、D8000 Pro Editionはダイナミックレンジの狭い「POPS」や「ロック」などを聴取する際に、より解像感がある音質になっています。これに対して「D7000」はちょうど中間に位置するようなイメージです。
横軸は、録音された声や楽器音の距離感の特徴です。距離感が大きいものを「音場感」が大きい、距離感が小さいものを「解像感」が大きいと表現しています。縦軸は、録音のダイナミックレンジの特徴です。ダイナミックレンジは、音の大きさの時間的変化の幅です。
したがって、このグラフの横軸は、右に行くほど音場感が大きな音楽録音作品に向いていること、左に行くほど解像感が大きな音楽録音作品に向いていることを示しています。また縦軸は、上に行くほどダイナミックレンジの幅が大きな音楽録音作品に向いていること、下に行くほどダイナミックレンジの幅が小さな音楽録音作品に向いていることを示しています。
付属品
着脱式ケーブル(OFCケーブル6.3mm/3m)、専用プロテクトケース、セキュリティキー、ケーブルポーチ
装着方法
左右はヘッドホンアームの先端にあるL/R表示(L:左、R:右)にてご確認ください。また、ケーブルはプラグの左右識別ライン(白ライン:左・赤ライン:右)にてご確認ください。
型番 | FI-D7PAL |
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筐体 | アルミマグネシウム合金 |
ドライバー | AFDS平面磁界型 |
ケーブル | OFCケーブル6.3mm/3m |
感度 | 89dB/mW |
インピーダンス | 50Ω |
質量 | 437g |
コード長 | 3m |