自分ダミーヘッドサービスについて

■ 自分ダミーヘッドサービスとは

フラッグシップ完全ワイヤレスイヤホンZE8000の全く新しい音楽体験「8K SOUND」を、個人に合わせて最大限に引き出すfinal独自のサービスです。

特殊な計測法によって個人ごとに上半身から得た緻密なデータから「自分ダミーヘッド」を形成、さらに独自に開発した「ヴァーチャル音環境」へ投入することにより、得られたデータから一人ひとりに合わせた音のアライメントをZE8000に施します。

・耳介だけでなく上半身全体で864箇所の計測ポイントで測定した形状データを基に、COMSOL*1の物理シミュレーションによって音響物理量を緻密に導出

・finalが独自に開発したオリジナルのソフトウェアによって、ヴァーチャル音空間における自分ダミーヘッドの音響物理量を制御

また密閉度と保持力を向上させたZE8000 MK2専用イヤーピースを元に加工を施した自分ダミーヘッド専用シリコンイヤーピースを採用。複合的な観点から「音色の向上化」を実現いたします。

※実施可能機種は【ZE8000】のみです。【ZE8000MK2】は今回のサービス対象機種ではございません。

■ 音色とは

音色は、音の高さ、音の大きさ、音の方向を除く、音を聞いた時に感じるその他すべての印象の源です。
例えば、自分に何か危険なものが接近していると音だけで察知する時は、音からそのものの位置を知り、音からそのものが何であるかを推察します。前者が音の方向知覚で、後者が音色の認識です。私たちは音色が認識できるので、さまざまな楽器や声の違いを音だけで理解することができます。
すなわち、異なる楽器や声で構成される音楽を楽しむうえで、音色は最も重要な要素なのです。

自分ダミーヘッドサービスは、イヤホンにおけるコンテンツの音色再現性能を向上させることにより、音楽より楽しめるようにすることを目的としています。

■ ダミーヘッドサービス専用シリコンイヤーピース

本サービスの前提となる装着位置や内部容積などの条件を一定にして音のアライメントを行なう必要があるため、密閉度と保持力を向上させたZE8000 MK2専用イヤーピースを元に加工を施した自分ダミーヘッド専用シリコンイヤーピースを採用。

外耳道と耳甲介腔(イヤホンが収まる部分:通称 耳ポケット)にしっかりとフィット・密閉を確保する新しいスタイルのイヤーピースです。

■自分ダミーヘッドサービスのポイント


1 : 既存サービスの前方定位とは異なる、音色の個人最適化を実装

2 : ZE8000専用アプリ「final CONNECT」が自分ダミーヘッドサービスカスタマイズverにアップデート

3 : ZE8000 MK2専用イヤーピースを元に、加工を施した本サービス専用シリコンイヤーピース

4 : 筐体に自分ダミーヘッド認証マークをレーザー刻印

サービス概要

■対象機種

ZE8000
※「ZE8000MK2」は今回のサービス対象外です。

■所要時間

本サービス提供のため、final本社(神奈川県川崎市)に2回ご来社いただく必要がございます。お申し込みからお渡しまで、通常ですと1ヶ月程度かかります。また、正しい測定ができずデータの取り直しが必要になった場合などはお渡しにさらに時間を要する場合がありますので予めご了承ください。

■ご参加条件

・ZE8000をすでにご愛用いただいている方※事前にZE8000をご利用いただいていない場合、正しい測定ができない可能性があります。また、予約スケジュールの都合データ計測当日に弊社製品をご試聴・ご購入いただくことはできませんのでご了承ください・final本社(神奈川県川崎市)に2回ご来社が可能な方

■価格

55,000円(税込)

■保証期間

自分ダミーヘッド適用済み製品受領日から1年間

お申し込みからお渡しまでの流れ

■ DAY 1(所要時間:約2時間)

[STEP1]:お客様ご持参のZE8000のお預かり

[STEP2]:スタッフから自分ダミーヘッドについて説明

[STEP3]:上半身3Dスキャン

[STEP4]:耳介及び外耳道入り口付近の3Dスキャン

[STEP5]:外耳道の物理特性の測定

[STEP6]:代替品のお貸し出し

■ DAY 2(所要時間:約3時間)

[STEP1]:音響テストによる最終アライメント

[STEP2]:自分ダミーヘッドサービス専用アプリ機能解説

[STEP3]:代替品のご返却

[STEP4]:お届け日・お届け先の確認

■ご納品

ご指定いただいた日時にご指定いただいたご住所へ自分ダミーヘッド適用済みZE8000をお送りいたします。

お申し込みの前に知っていただきたいこと

【サービス全般につきまして】

・期間中、お客様がご持参したZE8000はfinalへお預けいただきます。全サービスが終了するまで、代替品のZE8000とイヤーピースをお貸し出しいたします。・予約時刻に遅れる場合は、次枠に予約されているお客様が優先となります。


【データ計測につきまして】

・スタッフがお客様のお耳に触れる機会が複数回ございます。予めご了承ください。・正確なデータの計測のため、自分ダミーヘッドサービスのご契約者様以外のご入室を制限させていただきます。ご協力をお願いいたします。・アライメントの結果によっては、データの再計測が必要になる場合があります。

【DAY1当日の注意点について】

・パーカーやタートルネックなど、首周辺が隠れる服装はご遠慮ください。・スキャンに影響が発生するため、イヤリングやピアスはお外しください。・3Dスキャン時に専用の帽子を被るシーンが発生します。・外耳道の物理特性の測定には、吸音処理を施した閉暗所にお入りいただきます。

【注意事項】

※予約、決済後のキャンセルや返品・交換等は承っておりません。※耳の形状によってはデータ計測を最後まで行なうことが難しく、サービスのご提供が叶わないケースがございます。その場合は返金対応の上、お預かりしたZE8000をお返しいたします。※データの再計測が必要になる場合があります。その場合、再度予約を取っていただいた上で、final本社(神奈川県川崎市)にお越しいただく必要があります。また、お渡しまでの期間が変動する可能性があります。

自分ダミーヘッドサービス詳細

■自分ダミーヘッドサービスの概念

finalでは、2chステレオ音源で制作されたコンテンツをトランスデューサー(※2)で聴取する事象を研究開発するためにヴァーチャル音環境という独自の概念を利用しています。 これは、従来のトランデューサー製品の開発において主としてその音の物理測定と主観評価という手法が用いられてきた限界点を超えるための概念です。
このヴァーチャル音環境に、精緻な身体形状計測に基いて作成された「自分ダミーヘッド」と呼んでいるモデルを投入することで、 今回発表させていただくサービスに向けての研究開発を進めてきました。 自分ダミーヘッドをヴァーチャル音環境に投入することで、ふたつの重要な聴覚事象である「音の方向知覚」と「音色認識」を検証することができます。 私たちがイヤホンで音楽を聴く際には、各楽器やボーカルの音の位置とともに、各楽器やボーカルの音そのものを楽しんでいます。

この図は、ドイツの音響研究者であるGünther Theileが1986年にAESジャーナルに発表した論文に掲載された図を分かりやすく説明したものです。 鼓膜に到来する音をどのように物理的かつ聴覚心理的に処理しているかを示しているモデルです。 ここで重要なことは、空間聴取とゲシュタルト認識が別のステージで処理されているということです。 ゲシュタルト認識は、ゲシュタルト即ち形態を認識するという心理学的概念であり、先ほど説明した音楽聴取における各楽器やボーカルの音、 即ち音色を認識することと理解することができます。

Günther Theileが示したモデルをベースにすると音の方向知覚と音色を独立して扱うことができるようになります。 今回、finalが発表させていただくサービスは、音の方向知覚ではなく、音色の認識の質の向上を目指したものです。 先ほどご紹介したヴァーチャル音環境に投入した自分ダミーヘッドから得られた音響物理特徴量をGünther Theileが示したモデルの概念に基づく音色認識向上に利用しています。 その結果、楽器やボーカルの音色が向上し、かつ、楽器やボーカル間のバランスも向上させることができるようになりました。 こうして得られた情報をシミュレーション技術によりデータ化し、そのデータをお手持ちのZE8000に反映してお渡しします。

■なぜ上半身を計測するのか

反射の全くない自由空間(たとえば無響室)で、理想的な音源(特異な指向周波数特性を有しない完全な全指向性音源)を、音源から等距離の位置にいる複数人で一緒に聴くと、自分自身もまた他の人もおおよそ同じ音を聴いていると考えることができます。ところが、一緒に聴いている他の人と自分自身は、身体形状が全く異なります。したがって、頭部や胴部による反射や回折の影響で鼓膜に到来する音波の物理特性は個人毎に異なります。

しかし、上記の条件下では、身体形状が異なってもおおよそ同じ音を聴いていると考えられるため、身体形状によって生じる鼓膜に到来する音波の物理特性の変化に対しては、各人の聴覚がおおよそ同じ音として知覚あるいは認識できるように補正していると考えることができます。

イヤホンやヘッドホンで音を聴く環境下では、音が身体外部から到来せず、ドライバーから発せられた音が直接外耳に与えられるため、もはや上記の考え方は成立しなくなります。つまり、同じイヤホンやヘッドホンを使用していたとしても、他の人が自分自身と同じ音を聴いているとはもはやいえないわけです。

したがって、イヤホンやヘッドホンの音を論じるには、身体外部から音が到来する際に、個人の身体形状がどのようにその音波に影響を及ぼしているかを知る必要があります。final独自のヴァーチャル音環境という概念においては、この個人毎に異なる身体形状が身体外部から到来する音に与える物理的影響を考慮する必要があるため、個人の頭部と胴部の身体形状を計測したデータをもとに、ヘッドホンやイヤホンで提示する音の最適化を図っています。



用語解説

※ダミーヘッドHATS(Head and Torso Simulator)
とは音響測定において用いられる人の頭部と胴体のみのマネキンのことを指します。

HATS は、人の平均的な頭部、耳介、胸部の形状の模型であり、ヒトが任意の音場に入った時に鼓膜に到来する音波を推定するために用いられます。したがって、外耳道や耳介については特に精度高く模倣されています。一般には、鼓膜に相当する測定用の全指向性マイクロホンと外耳道を模したシミュレーターで形成される人工耳が頭部の左右に設置されており、このマイクロンを用いてさまざまな測定を行うことができます。

HATS は、オーディオ機器や音響システムの開発・評価において重要な測定機器のひとつであり、イヤホンやヘッドホンの研究開発にも用いられています。一方、ダミーヘッド(Dummy Head)は、HATSの頭部のみ、すなわち、ヒトの頭部を模倣したシミュレーターを意味し、ヘッドホンやイヤホンの測定や、バイノーラル録音などに用いられます。HATSという用語は一般にはなじみが少ないため、ここでは、一般に広く用いられているダミーヘッドという用語を、頭部と胴体を含むシミュレーターであるHATSの代わりに用いています。

※トランスデューサー音波を電気信号に変換する、あるいは、電気信号を音波に変換する電気音響変換デバイスのことです。

前者はマイクロホンなどがあり、後者はスピーカー、イヤホン、ヘッドホンなどがあります。音波を扱うオーディオ技術にとっては特に重要なデバイスがトランスデューサーです。トランスデューサー以外のオーディオ機器はデジタルオーディオ信号処理技術の発達とともに大きく変化をしてきましたが、トランスデューサーは、改良により音質の改善がなされてきたものの、基本的には従来技術が現在もベースとなっています。現在市場に出ているトランスデューサーを利用した製品の多くは、電気音響変換のために振動板を利用しています。レーザー技術や熱音響技術を利用した振動板が不要なトランスデューサーも研究されてはいますが、実用的な製品となるにはまだいくつかの研究課題をクリアする必要があると思われます。

※COMSOLfinalでは、COMSOL社のマルチフィジックスソフトウェア(COMSOL Multiphysics®)を使用して、数値解析手法に基づいた音響物理シミュレーションを行っています。